グローバルヒストリーのなかの近代歴史学

平成26年度立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR共同プロジェクト研究)

小澤編『近代日本の偽史言説』(勉誠出版、2017年)刊行!

近代日本の偽史言説―歴史語りのインテレクチュアル・ヒストリー

 

本研究プロジェクトの成果として、小澤実編『近代日本の偽史言説 歴史語りのインテレクチュアル・ヒストリー』(勉誠出版、2017年)が刊行されました。以下、出版社のサイトから目次をご覧ください。

 

bensei.jp

 

 オビは読者をひきつけるセンセーショナルなフレーズが並んでいますが、本書の目的は、オビ背にある「歴史とはなにか」ということに尽きます。この一言は編者の私ではなく編集担当の吉田さんのしつらえ。慧眼です。

 わたしの友人たちが関わり、ほぼ同時に刊行されたマーガレット・メール博士の『歴史と国家』もまた、「歴史とはなにか」を問う基本文献です。

 

歴史と国家 - 東京大学出版会

 

 訳者代表の千葉功さんはわたしがこの研究会を始めるきっかけとなったシンポジウムで報告者をつとめてくださり、もうひとりの代表の松沢裕作さんはこの研究会で共同研究員となっていただきました。

 こちらが近代歴史学の表の顔を描き出した堂々たる正統的研究書であるとするならば、『偽史言説』は、その表の顔の周辺で紡がれていた、やはり歴史を造りそれを我がものとしようとしていたひとびとの思考を浮かび上がらせる試みであったとも言えます。しかし、この二つの著作が対象とする近代日本という時空間は、われわれが自明としている歴史記述の作法を模索する時代でもありました。たとえば高校日本史教科書や学術出版社の講座もので措定される「正しい歴史記述」は、そこに至る過程でいくつもあり得た選択肢の中から、様々な条件が積み重なった結果としていまここにあるといってよいかもしれません。

 『偽史言説』が提供する事例群が、近代日本において「歴史とはなにか」を考える、「歴史とはなにか」と考えた人の思考に近づく手掛かりとならんことを。

 

                                  編者記