グローバルヒストリーのなかの近代歴史学

平成26-28年度立教大学学術推進特別重点資金(立教SFR共同プロジェクト研究)

第15回研究会(2021年6月5日)

『明治が歴史になったとき:史学史としての大久保利謙』合評会

開催日:6月5日(土)14時~16時半(最大17時まで)、オンライン(Zoom)開催

主 催:科学研究費補助金 基盤研究(C)「近代日本の大学における歴史研究・教育体制と学術行政」(研究代表者:奈須恵子) 

共催:「グローバルヒストリーのなかの近代歴史学」第15回研究会

 

近年の人文社会系の諸研究では学問史への関心が高まっている。歴史学においても史学史が一種のブーム的状況をみせ、歴史学のもつ時代被拘束性や問題系を明らかにする役割を果たしている。そうした状況のもと、佐藤雄基編『明治が歴史になったとき:史学史としての大久保利謙』(勉誠出版  2020年)が刊行された。歴史家が「明治時代」を新たに学問の対象としたとき、そこではどのような営為がおこなわれていたのか。近代の政治家、官僚、軍人などの個人文書を収集・公開する国立国会図書館憲政資料室の創設に関わり、数々の史料編纂等、研究のための史料環境の整備に尽力した、日本近代史研究の先駆者である大久保利謙。その足跡を史学史・史料論・蔵書論の観点を交えて検証した。本合評会では、編者による論点開示、3人の評者によるコメントののち、11人の執筆者を含めたフロアを交え討議を行い、本論集の成果と課題を明らかにしたい。

 

プログラム

14時00分 趣旨説明:奈須恵子(立教大学文学部)

14時5分~20分 佐藤雄基(立教大学文学部)『明治が歴史になったとき』の意図と達成

14時20分~40分 前田亮介(北海道大学法学部)

「政治史家たちは「憲政」をめざす――大久保利謙の長い影」(仮) 

14時40分~15時00分 豊田雅幸(立教大学展示館) 

「大学史研究の視点からのコメント」(仮)

15時00分~20分 寺尾美保(東京大学

華族研究の視点からのコメント」(仮)

(休憩)

15時40分 執筆者からのリプライ、総合討論

 

 参加申し込み方法:6月4日(金)13時までに以下リンク先のグーグルフォームから申し込みを行ってください。原則として、こちらの参加登録フォーム以外での参加受付はいたしておりません。   https://forms.gle/hVvpiGDXVBgz2kTHA

 

 前日4日の夜に、ZoomのURLおよびレジュメをお送りします。なお、zoomでの開催となるため、参加者は原則として参加登録フォームにご回答いただいた方に限定させていただいております。この点を何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

 

 問い合わせ先:佐藤雄基(yuki-sato at rikkyo.ac.jp;atを@に置き換えてください)

第14回研究会(2020年7月18日)

以前皆様にご案内差し上げておりました「グローバルヒストリーのなかの近代歴史学」研究会ですが、科研「近代日本の大学における歴史研究・教育体制と学術行政」(科学研究費(基盤C)・代表奈須恵子)として継続しております。 しばらく間が空いてしまいましたが、第14回研究会をZOOMで開催いたします。ご参加希望の方はURLをお送りいたしますので、できれば前日7月17日(金)までに、今回ZOOMのホストをつとめる佐藤雄基( yuki-sato at rikkyo.ac.jp;atを@に置き換えてください)までご返信ください。なお第117回朝河貫一研究会と共催で開催いたします。

 

日時:2020年7月18日(土)14時~16時

報告者 : 佐藤 雄基 会員(立教大学 文学部准教授)

テーマ:「日本封建制研究は何の役に立つのか ―朝河貫一の日本史論を中心にして」(仮)

「日本中世史は何の役に立つのか:史学史的考察と個人的覚書」(『史苑』79巻2号、2019年)を切り口にして、朝河の日本史論について話す。

主催:科研費基盤C「近代日本の大学における歴史研究・教育体制と学術行政」研究会(代表奈須恵子)  

共催:朝河貫一研究会

 

7月18日(土)の当日は、2時10分前までにURLをクリックしてください。よろしくお願いいたします。

 

なお、本研究とも関わって、

 

佐藤雄基編『明治が歴史になったとき 史学史としての大久保利謙』(勉誠出版、2020年)

 

がアジア遊学の一冊として刊行されます。2017年12月8・9日のシンポジウム「大久保利謙と日本近代史研究 家族・学問・教育」 をもとにしたものです。

https://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=101136&language=ja 

 

【新刊】佐藤雄基編『明治が歴史になったとき 史学史としての大久保利謙』(勉誠出版、2020)

研究会活動の一環として以下の論集が刊行されます。

 

佐藤雄基 編

アジア遊学248

明治が歴史になったとき

史学史としての大久保利謙

 

新しい時代はいかにして「歴史」となり、「史料」となるのか―

歴史学は「過去」を対象とする学問である。歴史家が「明治時代」を新たに学問の対象としたとき、そこではどのような営為がおこなわれていたのか。近代の政治家、官僚、軍人などの個人文書を収集・公開する国立国会図書館憲政資料室の創設に関わり、数々の史料編纂等、研究のための史料環境の整備に尽力した、日本近代史研究の先駆者である大久保利謙。その足跡を史学史・史料論・蔵書論の観点を交え検証し、日本近代史研究の誕生の瞬間を描き出す。

 

 

明治が歴史になったとき (アジア遊学248)

明治が歴史になったとき (アジア遊学248)

  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

第13回研究会(2019年7月4日)

報告者:神野潔(東京理科大学

報告タイトル「明治20~30年代における近代日本法制史学-『法学協会雑誌』の論文と記事を素材に」
日時:7/4(木) 18:30~
場所:人文研究センター(立教大学池袋キャンパス・ロイドホール5階)
 *ロイドホールは図書館の入り口横のエレベーターをあがった5階です。
 
 主催:科研費基盤C「近代日本の大学における歴史研究・教育体制と学術行政」研究会(代表奈須恵子)
 

 

概説 日本法制史

概説 日本法制史

  • 作者: 出口雄一,神野潔,十川陽一,山本英貴
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2018/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

  

日本法史から何がみえるか -- 法と秩序の歴史を学ぶ

日本法史から何がみえるか -- 法と秩序の歴史を学ぶ

 

 

小澤編『近代日本の偽史言説』(勉誠出版、2017年)刊行!

近代日本の偽史言説―歴史語りのインテレクチュアル・ヒストリー

 

本研究プロジェクトの成果として、小澤実編『近代日本の偽史言説 歴史語りのインテレクチュアル・ヒストリー』(勉誠出版、2017年)が刊行されました。以下、出版社のサイトから目次をご覧ください。

 

bensei.jp

 

 オビは読者をひきつけるセンセーショナルなフレーズが並んでいますが、本書の目的は、オビ背にある「歴史とはなにか」ということに尽きます。この一言は編者の私ではなく編集担当の吉田さんのしつらえ。慧眼です。

 わたしの友人たちが関わり、ほぼ同時に刊行されたマーガレット・メール博士の『歴史と国家』もまた、「歴史とはなにか」を問う基本文献です。

 

歴史と国家 - 東京大学出版会

 

 訳者代表の千葉功さんはわたしがこの研究会を始めるきっかけとなったシンポジウムで報告者をつとめてくださり、もうひとりの代表の松沢裕作さんはこの研究会で共同研究員となっていただきました。

 こちらが近代歴史学の表の顔を描き出した堂々たる正統的研究書であるとするならば、『偽史言説』は、その表の顔の周辺で紡がれていた、やはり歴史を造りそれを我がものとしようとしていたひとびとの思考を浮かび上がらせる試みであったとも言えます。しかし、この二つの著作が対象とする近代日本という時空間は、われわれが自明としている歴史記述の作法を模索する時代でもありました。たとえば高校日本史教科書や学術出版社の講座もので措定される「正しい歴史記述」は、そこに至る過程でいくつもあり得た選択肢の中から、様々な条件が積み重なった結果としていまここにあるといってよいかもしれません。

 『偽史言説』が提供する事例群が、近代日本において「歴史とはなにか」を考える、「歴史とはなにか」と考えた人の思考に近づく手掛かりとならんことを。

 

                                  編者記

 

 

公開シンポジウム「大久保利謙と日本近代史研究 家族・学問・教育」(2017年12月8・9日)

公開シンポジウム「大久保利謙と日本近代史研究 家族・学問・教育」

 

日時:2017年12月8日(金)19:00-20:30、12月9日(土)10:00-18:00

場所:立教大学池袋キャンパスX204(8日)、4号館4339(9日)

 

内 容:

 明治維新の立役者である大久保利通を祖父、大阪府知事の大久保利武を父とする大久保利謙(1900-1995)は、日本の歴史学者である。戦後、その人脈を通じて国立国会図書館に憲政資料室を創設するとともに、名古屋大学並びに立教大学教授をつとめた。大久保は、従来研究対象とはみなされていなかった日本近代史研究を学問分野として確立し、政治史、行政史、文化史、大学史、洋学史、史学史など多様な分野において学問的基礎を築いた。史学史上重要な位置を占めるにもかかわらず、またその著作集(『大久保利謙歴史著作集』8巻、吉川弘文館、1986-1993)ならびに自伝(『日本近代史学事始め』岩波新書、1996)は刊行されているにもかかわらず、いまだ大久保自身の研究業績や活動に対する検討はなされていない。本シンポジウムはそのような大久保の活動や業績を史学史に位置付ける初の試みである。

 シンポジウムでは、大久保の影響の下に近代日本の歴史学と国家の関係を解明した『History and the State in Nineteenth-Century Japan』(Palgrave-Macmillan, 1998)の著者であるマーガレット・メール博士による基調講演が8日に、佐藤雄基、松沢裕作、小澤実、そして大久保の自伝の編集に関わった今井修が大久保の活動の様々な側面の報告が9日に開催される。なお、9日には、大久保利謙の蔵書(大久保文庫)を擁する立教大学図書館に所蔵されている大久保関連資料の展示会もおこなう。

 ***

なお、メール博士の主著が、『国家と歴史:19世紀日本のナショナルアイデンティティと学問』というタイトルで、東京大学出版会より翻訳刊行されます。解説を、報告者の松沢裕作氏が担当しています。本シンポジウムは、大久保の研究に刺激を受けた本書の刊行記念も兼ねています。

歴史と国家 - 東京大学出版会

 

プログラム

12月8日(金)19:00−20:30:池袋キャンパス10号館X204

マーガレット・メール(コペンハーゲン大学

大久保利謙先生と私の研究 史学史・漢学教育・音楽史を中心に」

 

12月9日(土)10:00−18:00:池袋キャンパス4号館4339

佐藤 雄基(立教大学文学部)

「大久保利武と利謙:立教大学図書館所蔵大久保コレクションからみた大久保父子の 学問形成」

松沢 裕作(慶應義塾大学経済学部)

大久保利謙と戦後日本近代史研究の出発」

小澤 実(立教大学文学部)

大久保利謙と1950-60年代の立教大学史学科」

今井  修(早稲田大学教育学部

「大久保史学の史学史的位置」

 

主 催:立教大学日本学研究所

共 催:科研費国際共同研究加速基金(国際共同研究)(課題番号15KK0062 研究代表者小澤実)

 

 

歴史と国家: 19世紀日本のナショナル・アイデンティティと学問

歴史と国家: 19世紀日本のナショナル・アイデンティティと学問

 

 

日本近代史学事始め―一歴史家の回想 (岩波新書)

日本近代史学事始め―一歴史家の回想 (岩波新書)

 

 

小澤編『近代日本の偽史言説』(勉誠出版、2017)刊行!

2015年11月に本プロジェクトで開催しましたシンポジウム「近代日本の偽史言説 その生成・機能・受容」に基づく論集が、勉誠出版より刊行されます。

 

bensei.jp

 

当日の報告者内容を大幅に書き加え、3名の新規寄稿者の論考も掲載しています。

 

目次

序 章 偽史言説研究の射程  小澤実

第1部…地域意識と神代史
第1章 偽文書「椿井文書」が受容される理由  馬部隆弘 
第2章 神代文字と平田国学  三ツ松誠 
第3章 近代竹内文献という出来事―〝偽史〟の生成と制度への問い  永岡崇 

第2部…創造される「日本」
第4章 「日本古代史」を語るということ―「肇国」をめぐる「皇国史観」と「偽史」の相剋  長谷川亮一 
第5章 戦時下の英雄伝説小谷部全一郎『成吉思汗は義経なり』(興亜国民版)を読む  石川巧 

第3部…同祖論の系譜
第6章 ユダヤ陰謀説―日本における「シオン議定書」の伝播  高尾千津子 
第7章 酒井勝軍の歴史記述と日猶同祖論  山本伸一 
第8章 日猶同祖論の射程―旧約預言から『ダ・ヴィンチ・コード』まで  津城寛文 

第4部…偽史のグローバリゼーション
第9章 「日本の」芸能・音楽とは何か―白柳秀湖の傀儡子=ジプシー説からの考察  齋藤桂 
第10章 原田敬吾の「日本人=バビロン起源説」とバビロン学会  前島礼子 
第11章 「失われた大陸」言説の系譜―日本にとってのアトランティスムー大陸 庄子大亮 

偽史関連年表 
あとがき

 

シンポ当日の様子は『立教大学日本学研究所年報』14・15号をご覧ください。

 

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